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今俺が一番気になっている人物、
ブライアン・ベント(Brian Bent)。
彼の家に遊びに行ったり、
彼のスタジオで、
アートを手がけるところを見ていたりしている。
“SLIDE RIGHT”(右滑り)に対抗して、
『FREIGHT TRAIN LEFTS
(貨物列車が右に)』という新作が完成した。
補足すると、
彼のボックスはターンでなくて横滑りするところに妙がある。
自由な場所に置いてのスクリーンプリントほど楽しいものはない。
1930年代の新作『ボックス』。
これが波に乗るだけでも驚きだが、
これでターンをする愉しさはプライスレス。
http://blog.nakisurf.com/naki/archives/27942
以前、ブライアンと一緒にサーフ&食事をしたときに
どうしてもこのボックスが欲しくなって、
「どのくらいで手に入るのかな?」
と聞いてみたら、一年くらい待って、
さらには7桁くらいの金額らしいので、
一瞬で辞退したが、このボックスのレプリカを、
しかも俺が払える額で、
フォーム&樹脂で作れる人がロスアンジェルスにいるという。
割と軽量で、持ち運びしやすいのを、と相談して、
6’5″のミニレプリカボックスを作ろうということになった。
そのロスアンジェルス氏から電話がかかってきて、
「完成したから取りにおいで」
とハモサビーチの工場まで行ってみると、
完全アナログ、
つまりハンドシェイプのシェイプブースが迎えてくれた。
今回のボードを手がけたシェイパー&クラフトマンのホセ。
ロスアンジェルス氏は、
なんとエルサルバドル出身であるという。
ブライアン・ベントのオリジナルボックスのテンプレットを採寸し、
6’5″のミニレプリカが製作できるのが彼。
すごい。
工場のラックに9’5″のボックスがおいてあったので、
持ってみると、まんまブライアンのボックスそのままであった。
これにグロス&ポリッシュして今週末ロングビーチである
『inspiraion』展に出展するのだそうです。
俺に納品する前にピッカピカに磨き上げてくれました。
ロッカーがほとんどない箱(ボード)。
ホセとシェイプ談義をしました。
受け取ったらどうしても乗りたくなって、
日没までまだ時間があったので、
サンオノフレに行くことにした。
パーク内で”The Cats Meow”
シャツを着ている女の子を見つけた。
かっこいい!
と声をかけたら、
ブライアンの手下ダニエルでした。
ブライアンのボードには、ブライアンのフィンを装着。
ロングと比べてみるとこんなプロポーション。
トミヤマさんも一緒です。
彼はNALU誌の編集長で、
次号カリフォルニア特集を作りにサンクレメンテに来られているのです。
トミヤマさんの800mライド。
サンディエゴまで行ってしまいそうなほど、
いい波でした。
すばしいです。
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俺もワックスアップをし、
ボックスの初乗り。
しかもブライアン曰く、
6’5″という短さは世界初なんだそうで、
そんなヨロコビグライド。
乗れないかと思ったけど、
ダックダイブもできるし、
普通にダウンザラインもできた。
なによりも「違う」ということが気に入った。
パドリング、
テイクオフも普通のボードと違い、
トリムは一緒で、ドロップはスリル満点。
「温故知新」という言葉があるけど、
その通りだなあ、とネス湖よりも深く感じた。
日の入りがやって来てしまった。
日が落ちると、
ここは砂漠気候のためめちゃくちゃ寒くなるので慌てて着替える。
美しいボックス(ボード)
1930年代のオリジナルボードをブライアン・ベントが毎日乗り、
そしてそのミニチュア・レプリカを
80年後に乗ることになるのが自分だとは想像したことすらなかった。
すばらしき滑走と、果てしない思想を抱え、
哲学を内包した究極の滑道具だと感じた。
レトロバンザイ!
それも半端ではないレトロはすごい。
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そんなことをトミヤマさんと話しながらドナルド(・タカヤマ)の工場に向かうと、
なんとなんとドナルドは、
DUKEボードをレッドウッドを使った木製で削りだしていた!
デューク・カハナモクの時代となってくると、
1910年代だから、100年前のボードの完全再現であるという。
こうなってくると目が廻ってきた。
ドナルドが言うには、
「DUKEボードはこの9’2″が7本目で、
もうすぐシェイプ歴60年となる記念ボードだ。
まだ日本には一本も入っていないし、
波に乗れるように本物と同じようにフィンを付けてある。
まだ買い手がついていないから、ナキが予約するか?」
うーん、今度は100年前のサーフィングとは!
これは歴史そのものだし、
NAKISURFの壁に飾って、
たまに乗りに行ったらどうだろうか?
などと考え、
どうしても欲しくなったがぐっとこらえて、
「後で電話します」と一度話を切った。
美しいボード。
もうすぐ完成で、
買い手が付いていないのは珍しいことと言う。
アメリカの不景気が影響しているのでしょうか?
ちなみにこのボードのスペックは9’2″ x 19-1/4″ – 2-1/2″
100年前の完全再現。
ある意味の究極だ。
もう放心。
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