新品・中古サーフボード販売、カスタムオーダー、ウェットスーツ、サーフィン用品など。NAKISURFは、プロサーファー、フォトグラファー、サーフライターで知られるNAKIのコンセプトサーフショップです。

naki's blog

特大号【Dセンパイのジャワ番外編その2?第一日】ニマリンサーフ・ジャワ珍道中_(6288文字)

こんにちは、いかがお過ごしですか。

お待たせしました。

俺も待ちに待ったレポートがD先輩から届きました。

先輩の表現する昭和30年後半と、

俺の昭和40年代は時代が違うので全てはわからないし、

センパイのようには感じられませんが、

ここには見事なまでのドドゲ文学が表現されています。

旅に行くというのは、

こういうことなんですね。

昭和40年の、6歳の少年に戻ったD先輩も現れました。

疑い深くてやさしくて、それは今も変わってはいませんね。

それではドーゾ。

———————————————————————

はい、こなさんみんばんは、

(みなさん、こんばんは)

ランボルギーニ三浦です。

ゲツマツとネンドマツの大波をようやく超えたので、

睡眠不足の朦朧頭脳で書きました。

なので、

よろしければビール片手に読んでやってください。

さてさて、杉本さんと私は無事に到着して、

膝腰のパーフェクト波を見たところまで書きましたね。

http://blog.nakisurf.com/naki/archives/43053

長旅は疲れるものだけど、

格闘家みたいに体が痛くなった往路旅は初めてです。

バラックみたいな土間宿に入るやいなや、

荷物を開いて、

痛いところにシップ(湿布)を貼ろうとしていたら、

杉本さんが、

「波乗り行きますか?

少し歩きますが、湾の外側に高速リーフがあります。

ここでこれだけあれば、頭以上は軽くありますよ」

と言うので、旅の疲れ、

いや、旅の痛みも吹き飛びました。

ボードケースからボードを出してフィンを付ける。

この瞬間が一番わくわくしていいですね。

突然ですけど、

鉄人28号のテーマソングがフラッシュバックし、

その主題歌が私にやってきたのでありました。

「グリコ・グリコ・グーリーコー♪

ちゃんちゃんちゃんちゃん、ドカー!

ビルの街にガオー!ダオー!

夜のハイウエイにガオー!キキキー!

ダダダダ・ダーンと弾がくる

ババババ・バーンと破裂する

ビューと飛んでくテ・ツ・ジン28号?♪

グリコ・グリコ・グー・リー・コー♪」

45年も前のことだけど、

ちゃんとおぼえているものだね。

すっかり忘れていたけど全部思い出した。

ジャワ、すげえ。

思ったのは、このねっとりとした大気、

喧噪、バラック、空き地、

ムシロ、土間という環境は、

俺の子どもの頃の夏そのもので、

コビトのチョコとか、ニイタカドロップ、

そして懐かしいトッフィーキャラメルのあの味が、

口の中に現れては消えていくのでした。

貸本漫画、そしてTVでの鉄人が蘇る。

不思議なことです。

金田少年、村雨一家、不乱拳(ふらんけん)博士、

そしてギャング団のボスはスリル・サスペンスね。

鉄人の秘密研究所は南の島の地下にあったから、

もしかしたらこんなところにあったのだろうか、

などと夢想していたら、

杉本さんの「そろそろ行きますか?」

という声で俺は現実に戻った。

むー敷島博士。

いやあ不思議なことです。

外に出ると真夏の陽射しがすごい。

麦わら帽子が欲しいよ。

「母さん、僕のあの帽子どうしたでせうね」

ってあったけど、

それは森村誠一の『人間の証明』の映画コピーだね。

どんどん記憶が蘇って、頭は冴えるけど、

肉体はクラクラしてきました。

しっかりと水を摂ったほうがいいな、こりゃ。

歩き始めると、裏はジャングルでした。

猿の鳴き声とか、

聞いたこともない鳥の啼き声が森の中にひしめきあっていて、

ここはヤバイぞ。

昼間とはいえやはり怖い。

中にはジャワ虎とか、毒蛇、毒蜘蛛がたっぷりいそうでした。

杉本さんは、「写真を撮りますから」

と俺を先に行かせようとしている魂胆の一枚がこれ。

ちゃんと小径になっていて、

でもね虎が隠れているのは間違いはないと思う。

実は俺はトラが好きで、かなり詳しいのだけど、

奴らは昼間にも行動するし、繁殖期以外は単独なので、

どう考えてもここにいる確率が高いというわけです。

「おーい、杉本さん。お先にドーゾ」

「いやいや、センパイですからどうぞお先に」

「年長者より、経験者が先に。道を間違えてもいけないからね」

「一本道なので迷いませんよ」

というやりとりがあって、

仕方がないので、大声を出しながら進んでいく。

「グリコ、グリコ、グーリーコー!」

「なんですかセンパイそれは」

「知らないの鉄人?」

「はい、料理の鉄人ですか?」

というやりとりがあって、

世代の違いを思い知った。

そうだよな、

俺が単車に乗りはじめた頃に杉本さんは生まれたんだね。

ジャングルを抜けると海岸に出た。

波はかなりあるよ、おい。

「ここでもいいじゃん。ここでやろうよ」

もう歩きたくないので、そう言ってそそのかすが、

「もうすぐです」

さっきから同じことを繰り返す杉本さん。

高速でなく、低速リーフでいいってば。

少し行くと、

高速リーフのだろうか、ローカルがひとりでいた。

「やべえ、目を合わせないようにしよう」

とすっかり日本での癖がついていたが、

チラリと見ると、その人はやさしそうに笑っていた。

「こちらではローカルだからって、

偉いとかそうでないとかはありませんから大丈夫です」

と杉本さんが言っていたのを思い出した。

「スラマシアンー!(こんにちは)」

と声をかけて彼の横を通り過ぎると、

うれしそうに笑っていたからね、

こちらも笑顔で写真を撮らせてもらった。

いいね、こんなの。

サーファー同士の結びつきだよな結局。

きっとやさしい人だろうね。

こんなところに住んでサーフしているから、

ある意味この人は極上ライフを満喫しているのでしょうね。

そういえばライフオブ・パイもベンガルトラが出てくるね。

あの舞台はここの沖にある小島かもね。

あ、小島さん、元気かな。

思考は友人に逸れたことも思い出したよ。

ずいぶんと行ってから「ここ辺りです」と杉本さん。

「おお、これが噂の高速リーフか!

超パーフェクトで誰も入ってないじゃんよ」

「はい、パーフェクトに見えますが、

かなり速いので、かっとんでください」

「速いのは大好きだからさ、東八郎はマッハで走るよマッハで」

と8マン(東八郎)が思い浮かんだが、

そのことを書くと、また長くなるのでここでは省く。

いい波だー。

誰もいないけど、鮫とかがいるんじゃないの?

と疑うが、杉本さんによると、

「全く問題ないですよ」と言う。

「あそこなんか、あんな掘れちゃっているじゃんよー」

つい方言が出てしまう。

あ、横浜弁です。

崎陽軒のシウマイはうまいです。

地元の宣伝をここで。

杉本さんがストレッチをしながら写真を撮ってくれるというので、

先に入ることにしたが、

またうまいこと言って、

入ると「呉爾羅(ゴジラの本名)」が出てきて、

ギャーオと俺だけ喰われちゃうんじゃないのか?

と疑ってみるが、

ここは杉本さんのご厚意に甘えて、

いざいざとジャワ波にランボルミウラが初見参と相成った。

赤胴鈴之助は、

北辰一刀流の亜種、飛鳥流から「真空斬り」を完成させたが、

ワタクシめはジャワでの高速リーフで

「真空ターン」を表現させようと目論んだ。

(つづく)

と終わりたいのだけど、

まだ書き出しだから続けちゃいます。

この時にいい写真を撮ってもらったのでここに。

杉本さん、ありがとう。

サイズがあるというので、

LOOSE CANNONにしてよかった。

岸から見ているより大きかったね、ここは。

高速リーフだからジェフリーズベイみたいにボトムを吹かして、

スロットル全開で前に前に進んでいったね。

いやあ、気持ちいい。

このセッションで、

ルースキャノンの自身最高速を達成したから、

その記念と言ってうまいビール飲めるね今夜は。

さらには、記念続きだけど、

世界チャンピオンのジョエル・パーキンソンを記念して、

彼風のターンで斜面をなめるように滑るワタクシ。

これは名付けて、

「ジョエルが駐車場で損をしたってね」ターン。

意味は横に500円の駐車場があったのに、

こっちに入れて1000円も払っちゃって、

後で損したって気づいたジョエルくん。

太い眉毛をしかめて、あーパーキン損。

わかるかな?わかんねえだろうな。

シャバダー♪

[わからない人に]

駐車場はパーキングでしょ。

パーキン、損。

わかった?

(船木よ、ここはつまらないから削除しても怒らないぞ)

杉本さんが合流してきて、

「センパイやばいです。アンディアイアンズみたいでした」

というので、うれしいので

「もう一回言ってくれー」

と言ってやったね。へへー。

波乗り中にね、大瀧詠一さんの初期の曲

「三文ソング」が浮かんできた。

これやばいほど、いいぜ。

山下達郎がこれでデビューしたんだよ確か。

きちんと雑誌風のインプレッションも書きました。

「早い波なので、早めに立ち、軽くワンターン入れて、

そこからボトムターンに入ります。

コンテストのように縦の動きをするのも良いですが、

波上部の角度のある斜面を使って、

ターンを伸ばす感じで加速していって、

最終セクションでグシャっとやるのが、

満点マンライでして、

これこそがこの板の持ち味を引き出して、

なおかつ活かすと思います」

うーん。

まじめに書いていてもつまらないね。

とにかくルースキャノンの最高速にター坊(ターボ)効かせて、

フルスピードでクローズするセクションに飛び込むのは、

富士スピードウエイの最終コーナーに似ているんだよ。

杉本さんも速いねー。

初乗りのマンティスで飛ばしすぎているよ。

「気をつけなよ。速すぎる男には早すぎる死が待っているものだ」

と渋く291(ニクイ)コピーを思いついたら、

ようやく戻ってきた杉本さんが

「やっちゃいました…」

と最後のセクションのコースターでノーズダイブさせちゃって、

リーフとご対面して、

さらには、

「アイランドゴリゴリを体験しちゃいました….」

苦い顔をして、背中と肘を痛そうに見ていた。

補足すると、アイランドゴリゴリは俺の造語でして、

要は浅いリーフ剥き出しのところで立ち往生することなのです。

なぜアイランドかと言いますと、

リーフと聞いて直感的に島=アイランドということを思いついたからです。

ちがうな、奄美で思いついたからです。

スーパーハッピーセッションをたっぷりとこなして、

よっこいしょとジャングルの中を歩きながら宿に戻るのは良い気分だね。

まだまだ明るいけど、今何時だ?

子供のときはさ、

土曜日の夜にフジTVで鉄腕アトムをやっていたので、

なんだかアトムが見たくなったね。

でも鉄人もいいな。

戻ってきてすぐに杉本さんの傷にライムを塗りたくって、

ボードは俺が自前のリペアキットを持ってきたので、

早速直してあげました。

写真を撮るんじゃないよ、とは言ったけど、

こんな作業風景の写真も今となっては良き思い出です。

何が必要になるかわからないね、人生は。

ライムはリーフ毒への殺菌作用があるので、

古来使われているのです。

迷信じゃないですよ。(船木注:本当です)

「腹減りましたね」

という杉本さんの声を合図にさて、サテを食べよう。

わかる?

「さて、サテ」とかけているけど、

「わかるかなぁ~わかんねぇだろうなぁ~。シャバダー♪」

(これも添削してくれな)

ってな訳で、次は杉本さんが

「ここの家のは絶品です」というサテ屋に向かう俺たち。

「とにかく旨いです」ってさ、どこでも聞くセリフなので、

何も期待していなかったけど、

食べてビックリ!

地鶏の味がしっかりとして、

ありとあらゆる味がまじわりあった虹色風味。

今まで食べた焼き鳥をぶっちぎるパフォーマンス。

タレはこのオヤジ独自のレシピで、

そして炭火だか、直火だかの焼きによって、

照りとまろやかな甘味が柔らかさに転化し、

焦げの苦みと相まって、

食べるものを夢の中の世界に誘うのであります。

インドネシア歴30回の私は、

はっきり言って度肝を抜かれました。

(後日知ったこの王宮風サテアヤムのレシピについてはここにあります)

http://blog.nakisurf.com/naki/archives/42818

さらにコップはなんと煮沸されていて衛生上安心で、

さらにはミネラルウオーターを使うというグルメぶり。

うれしくおいし過ぎて追加追加で、

俺たちは食べ過ぎて、

最後のオーダーは調子に乗って、

牛(サピ)も混ぜてもらって、

開店直後に売り切れという展開に持っていきました。

本当にひとり50本は食べたね。

店主ハメちゃんの娘たちと記念撮影したよ。

この子たちの教育が行き届いていて、

「サテを食べてね」

と言っても、お腹が空いているのに

「結構です」と言って、全く手を付けなかったね。

いい料理人は、子供教育も行き届いているんだね。

品もいい。

今まで俺はいかにバリで、でたらめなサテを食べてきたかを知った。

正統インドネシアの真剣な料理の神髄がここにあった。

感服。

唯一の難点は出てくるまで時間がかかることだけど、

これこそが近道はないものだから、

逆に利点といえることだろうな。

あとなぜかビールがないことだね。

(この理由は後でわかることとなる)

良い気分で帰ると蚊がすごかった。

夏先取り。初ものはめでたい。

と前向きに考えるけど、

NAKISURF大西さんの

「マラリア蚊」という単語を思い出して恐ろしくなる。

「杉本さん、ビール飲もうぜ」

「いいですね。でも実はビールってあんまり売っていないんです」

「え、どういうこと?」

「イスラム教って、酒を飲んじゃいけないらしいんです」

「そうか、バリはヒンズー教だから飲めたのか」

「そうなんです。それがここの欠点です」

「でもいいよ。郷に入れば郷に従えだよ杉本さん」

「1本なら飲めるはずなので、とにかく行きましょう」

「1本で十分」

と、ハイテンションのまま近くの店に行く。

「やはり1本ですね」

注文をしにいった杉本さんがうつむき加減で帰ってくる。

すると、

「スギモトサンー」

とローカル達が杉本さんに声をかけてくる。

「おー!元気かよ、お前たち?」

と喜ぶ杉本さん。

ジャワ歴5回は伊達じゃないね。

こんなところに知り合いがいるのは末代までの語りぐさだ。

「こっちでみんなで飲もう」

と飲み始める。

おお!ビンタンビール!!

感嘆符が付くほどのビール。

めでたくうまい。

大事に飲むけど、

「すぐに少なくなって悲しいのココロ」

と天才バカボンに出てくるカバボスの気持ちとなる。

それを察したのか、

ローカルたちが

「ビールをもっと飲みたいですか?」

と聞いてくるので、当たり前だのタメゴロー。

違う、「当たり前田のクラッカー」とばかりに返事をしたら、

ローカルのふたりは厨房に行き、

レストランとのボスと交渉ネゴシエーションに入った。

少し経って、

ふたりは両手にビールを抱えて戻ってきた。

どうしたのかを聞いてみると、

「イスラム教でない人が来ているので、ビールを倉庫から出してください」

と言ってくれたという。

ありがたい。

みんなで「スラマッミヌムー!(乾杯)」と祝杯をあげる。

ミヌム、ミヌムミヌム。

発音してみると楽しいね。

イスラム教の若者もやはり飲みたいようで、

俺たちの注文ということとして飲みまくっていた。(笑)

日本のサーファーとジャワのサーファーの交流がいいね。

こうして気を利かせて、

俺たちにたっぷり飲ませてくれて、

純粋で、気さくなローカルたちに感謝です。

ありがとうジャワ。

ありがとう、連れてきてくれた杉本さん。

(杉本さんの写真がないので、次回用の写真から使うね)

全てに感謝しながら最初の夜は、

マラリア蚊と戦いながら眠りについたのでした。

(後編に続く)

http://blog.nakisurf.com/naki/archives/43450


Comments are closed.